【未命】

わたしは結局「何者にもなれない」のだな、と痛感する今日この頃。
よくいえば「多才」、悪く言えば「器用貧乏」、そんな自分がわかっているから、最近ではもうあれこれと手を出すのはやめにした。仕事すら満足に出来ないわたしに、そんな余裕があるわけでもないし。
でも、だからといって、社会人として、家庭人として、女性として、完璧でいられるわけもない。どのわたしも少しずつ綻びを見せながら、どうにか繕い繕い、息も絶え絶えに生きている、といった感じだ。
わたしにはそれで精一杯。それで充分。
そのはずなのだけど、ああ、あれももう少し極めておきたかった、これも今からやっても遅くない、と、目の前にはきらきらとしたものがたくさん流れては落ちて。
わたしのまわりにいる多才なひとたち、いろんなことを両立あるいはそれ以上立てているひとたちを見ると、わたしといったい何が違うのだろう、と考えさせられる。
でも、これがわたし。誰と比べたって、わたしはわたしでしかなくて。
出来る範囲でそれなりに楽しくやっていくこと、わたしに出来ることはそれだけだ。

本はすごい勢いで読んでいて、「ダ・ヴィンチ・コード」とかいろいろ思うところはあるのだけど、なんだかうまくまとまらなくて、そのままずるずる次の本へ、次へ次へと読んでいく日々。

「周囲の期待に応えない」という選択肢もあり、かな、と最近は思っている。
自分の中で、これ以上は出来ない、というラインを知ることはとても大切だ。それがたとえ、他人よりかなり低い位置にあっても、これ以上は出来ない、という事実に変わりはないのだから。
それは努力をしない、とか、がんばらない、ということとは違う、と思っている。
無理をしない、ということは、そういうことではない。