【答えがないかもしれないこと】

病棟でのひとこま。

左足の術後の患者さん、当然安静が必要であり、落ち着くまでは喫煙も出来ればしないで欲しい。そしてこの病院は全館禁煙、喫煙所は外にあるのみ。ヘビースモーカーの患者さんであり、煙草を吸いに行きたい、という訴えが何回もあったのだけれど、当然却下。2週間程度のベッド上安静が必要、ということは説明して同意も得ているし、今回の手術は正直、悪いところを治すというわけではなく、あくまで患者さんの希望でADLを上げるためのもの。平たく言えば「必要のない手術」ともいえる。美容に近いものもあるし。
そしてある日、患者さんはついに病室内で喫煙をした。
当然、病院の規則には違反しているし、常識的に考えても、危険性とか治療上のことを考えても、許されるべき行為ではない。しかし、煙草を吸わないといらいらする、とナースコールが頻繁に鳴ったり、大声でわめきちらしたりする行為もあった。(そして実際、のちに喫煙を許可してからは、煙草を数本吸うと落ち着いてはいる。)
医療者としては、「じゃあ煙草を許可しましょう。安静度もちょこっと解除。そのかわり傷の治りは知らないよ」と言うことや、「規則違反だから退院ね、傷?そんなのどこか別の病院で治せば?」と言うことや、「何がなんでも絶対安静!抑制してでも安静度は守らせる。そうじゃないと傷が治らないんだから」と言うことは、なかなか出来そうにない。
さて、この患者さん、どうすればいいんだろう。
中間地点でやんわりと…となかなかうまくいかないのも事実。

何を優先するか、は人によって違うのだということを学びつつある。