【泥沼】

お察しの通り、泥沼と化している1日。
問題点はいくつか(いくつも)あって、それを整理する元気もいまはない。自分も悪くて彼も悪い、でもどちらかというときっと悪いのはわたしだ。客観的(何を客観とするのかは難しいところではあるけれど。)に見れば、きっとそれは明らかだ。ここを見ている人は誰もがそう思うだろう。

タイミングが悪すぎた。わたしにとっては、そのひとことだけだ。ご都合主義と言われてもかまわない。わたしは自分がかわいいのだ、所詮それだけの人間。

こうしてわたしは他人を傷つけ、自分をも傷つける。
こんな人間が生きていていいのかと思うときもある。

ごめんなさい。

当直先は今日も平和。

いろんなことが重なると、なにから処理をしていいのかわからなくなる。
まずは仕事をしなくては、と思うのだけれど、それすらも無理な状態。

月曜日が憂鬱なのは久しぶりだ。

ひとつだけ言えること。
わたしはあなたが好きだったし、あなたに救われたことを感謝している。
いろいろ言い訳をつけたけれど、結局はわたしが全部悪かったのだ。すべてを壊したのはわたし、壊したかったのも壊されたかったのもわたしなのだから。
本当にごめんなさい。
ウェブ上での最後の私信。

夢を見た。

 「少女革命ウテナ」の映画を、街中まで母とふたりで観に行っていた。
 観ている間、なんだか騒がしく、不愉快な思いをする。
 帰りに、受付でパンフレットを買おうとするが、数が足りないとのこと。事前に予約をしてあった人だけが買えるようだった。諦めて、帰る。

 帰りは、もう夜中。灯りも消えかけた繁華街を、母とふたりで帰る。怖かった。そうしていると、後ろから自転車に乗った女子高生が近寄ってくる。財布をすられる!と咄嗟に思った私は、
「お母さん、財布に気をつけて!」
と叫んだ。案の定、彼女は財布が目当てで、母のかばんの中を探ろうとする。そのとき、母の財布には大金が入っていた。私は必死で女子高生のかばんを探り、財布を探し当て、それを後ろにぽーんと投げた。彼女がそれを取りに戻っていったのだけれど、また来られると困るし、とにかく怖くて仕方がなかったので、急いで逃げ、近くにあった、数少ない灯りのついているお店に逃げ込む。

 そこは、お好み焼きの薄汚い店。隅っこの青い椅子に、母と座る。見ず知らずのおじさんにからまれるも、なんとか逃げきる。おじさんが帰ったあと、お店のおばさんがお好み焼きと親子丼を持ってくる。食欲もなかったし、頼んでもいなかったのだけれど、出されたので仕方なく食べる。ちょっとの間に、母はお好み焼きをぺろっとたいらげていた。私はといえば、ちょっとの量の親子丼と悪戦苦闘。やっとの思いで半分食べる。おばさんが母に2000円を要求し、それを支払って、店を出る。

 明るいところをなるべく歩こうとするが、もう夜中なのであまり明るいところがない。それでもやっとの思いで、駅までたどりつく。
 駅の地下街は明るいが、中高生のたまり場と化していた。
 その中の1グループに因縁をつけられ、追われることになる。相手はナイフをもっていた。恐怖に包まれる。私はとっさにそれをとりあげ、自分の手首を切った。そうすれば、相手が引くと思ったのだ。けれど、相手は引かず、私はその傷の横に新しい傷をつけられた。痛くはなかった。けれども、恐怖は倍増した。そして、数人のグループに追われることになる。階段を上がったり下りたり、エレベーターでまこうとしても、駄目。執拗に追いかけてくる。
 そこへ、たまたまロビーに居合わせた作家の小川洋子が止めに入ってくれた。
「やめなさい」
それに気をとられている間に、逃げ帰った。
 そういえば小川洋子には、博多駅でも何かで助けてもらったな、とふと思う。そのときのお礼もまだ言っていなかった。

 家に帰って、炬燵で寝ていたところを、訪問者の鳴らすチャイムで起こされる。家は、炬燵のあるリビングのふすまを開けると玄関があるという間取り。ふすまを開けたまま、母が応対する。島根大学の人だった。
「ダッフルコートの件で…」
と話しているのが聞こえる。私は下半身に下着しかつけていない格好で寝ていたので、出て行くことが出来ないでいる。
 母がリビングの窓辺にかけてあったダッフルコートを取り、玄関へ。
「みんなが使うからとけちゃうのよねえ」
 ”ミッシング・リンク”が鳴り始める。

 目が覚めた。

(ナイフ)