【もう誰もあなたを攻めたりしない そんなの早く脱いで】

トップの手伝いをしていたとき、突然、
「君はA型でしょう」
と言われた。うちの医局員にはA型の人間は殆どいない。もしかしてそんなわけのわからない理由で「医者に向いてない」とか言われるのかしら、なんて卑屈なことを考えてしまった。
「はい、そうですけど」
「いや、片付け、きちんとしてるから。そうかな、と」
「あまりきちんとはしてないですよ。ただ、片付けておけば、次に使うときにすぐにどこに何があるかわかるし、使っていないあいだに出しっぱなしにしておいて、何かトラブルが起こったりするのが、いやだから。あ、トラブルに対処出来る自信も能力もないもので、出来るだけ防げるトラブルは防ぎたい、というものぐさ精神なんですよ」
「あー、やっぱりか、A型だなぁ。それ、いいよ。医者に向いてるのかもしれないなぁ」
トップにとってはなにげないひとことだったのかもしれない。けれど、わたしにとっては当然ながら、びっくりするくらいうれしかった。
でも、わたしにとっては、「先生、あの書類はどうなりましたか」と言うと、散らかった机の上からごそごそと探して「はい、ここにあるよ」と取り出してくる人のほうが、どちらかというとすごいと思うのだけれど。それはある意味尊敬に値すると思う。
そしてわたしの片付けかたは、ある意味強迫的だったりもするので、あまり誉められたものでもないし、ね。