【もらいなき】

今日はそこそこ仕事をした。というか、お昼ごはんを食べるのも忘れていたほど、実は忙しかった。昨日休んだからといって、特に今日の仕事が増えたわけでもない。それなのに、何故かとても忙しい1日だった。本来は、火曜日ってもうちょっとゆっくり出来るのだけれど。

からだがまだきつかったこともあり、(頭は冷たくなっているし、床に足がついている感じがしないし。)おそらくいつも以上に要領が悪くなっていたこともあるのだろうな。

それにしても、体調が悪いときだからこそ余計にそう思うのか、「自分の権利だけを主張する人間を信用してはだめよ」という、某小説(江國香織だったと思う。)の台詞が強く思い出されることが最近多い。
それはわたしが少しだけずる賢い大人になったからなのか、冷静な判断力を少しくらい身につけたせいなのか、わからないけれど。

でも、自分の義務と権利のバランスを取ることは大事だ。
小さな組織を保つために、そして、小さな組織を守るために。その組織の中で生きていくために。
何よりも、自分を守るために。

わたしは偽善者が嫌いだ。そう、はっきり言える。
それならば、まだ悪ぶって損をしている人のほうが、ずっとわたしには共感出来そうな気がする。

そう、思い出した。今日、忙しかった理由だ。
患者さんの処置をしながら、患者さんの話を聞いていたのだ。
彼女の病気は、エビデンスはないものの、ストレスが増悪因子となることはよく言われている。
そして、彼女はいままさに、家庭内でのストレスを大きく抱えている状態にあった。彼女がわたしと同い年であることや、その状況がわたしと少しだけ重なる部分もあったりして、(そういう対象に、わたしは弱い。そして、いわゆる「精神科の」お薬を飲んでいる背景があったりすると、余計に。)処置をしながら、小一時間、彼女の話を聞いた。
あとで主治医は「愚痴なんだから、きりないよ、聞いてたら」と笑ったが、わたしには笑えなかった。それは流していい愚痴と流してはいけない愚痴の区別がつく、経験のある主治医ならば出来ることかもしれないが、わたしはそれがなんとなくひっかかったのだ。
少なくとも、眠れない、という症状があり、そしてそれを自分が解消することが出来ない以上、専門家の意見を仰ぎたいのですが、というわたしの意見には反対されなかったこともあるし、これ以上彼女の「愚痴」(ではないが。)につきあう余裕もなかったわたしは、すぐに心身医療専門の先生をコールした。
その後、わりとすぐに先生が来てくださり、面接に立ち会うことになった。それがまた長くなってしまったのだけれど、わたしはなんとなく、自分までがすっきりしたような気持ちになったのだった。
自分の「ストレス」までが浄化されたような気がしたこと。話を聞くだけで、ずいぶんといろんなことが変わるものだ、ということがわかったこと。
そうだ、そんなことがあったので、予定外に忙しく感じたのだった。

でも、こういう忙しさなら全然、いやじゃない。