【診察室で涙をこらえる】

診察室で泣いたのなんて、はじめてだった。今日は心療内科の受診日。
不安と悲しみと喪失感と期待と希望としあわせと、やっぱり不安と猜疑心と恐怖とでいっぱいだった、ここ数週間。
泣かないように、自分でもずっと我慢してきたつもりだった。
同居人と「他人」になることへの言い知れない虚無感と(それはどちらがより悪い、というわけでもないことがさらに追い討ちをかける。)、新しい恋に溺れたい気持ちと、けれどそれに対する底知れぬ不安と、その彼ももうすぐ旅立ってしまうという現実と。そしてさらに、職場では慣れない環境にいるし、仕事もかなり忙しくて、食事も睡眠もまともにとれていない状況で。たまには泣いたってよかったのかもしれない。
そんなところをちょっとつつかれただけで、涙が止まらなくなりそうになって、あわてて耐えた。主治医は冷静に話をそらしてくれたけれど。
でも、そんなふうに泣けたほうが、きっとしあわせなのだ。泣ける場所がある、ということは、きっと。