【本当は冬休み】

大学では昨日御用納めだったはずなので、今日からは堂々と冬休みに入ってもいいはず、なのだろうけれど。そんな研修医はなかなかいないだろうな、と思う。
わたしはといえば、去年の年末から年始にかけて、我が科では年に何人いるかいないか、といった、すこぶる全身状態の悪い患者さんを担当していた。だから、年末年始のほうが却って忙しかったという感じだった。業務時間外だから、検査もすべて緊急扱いだし、血圧が下がっても凝固能異常があってもひどい下痢をしても心不全を起こしても、きちんとした形で内科や外科にコンサルト出来る状況ではなかった。でも、そこで社会の厳しさのようなもの(ちょっと違うかな。大人の事情、とでもいうべきか。)も知ったし、全身管理も少しだけ勉強出来たので、そのこと自体は悪いことではなかったのだけれど。患者さんも結局、みんなに助けてもらいながら救命出来たし。悪いことばかりではないのだ。
いや、そもそも、血圧とか凝固系とか消化器疾患とか、たとえマイナー科でもきちんと対応出来ないといけない、と言われればそれまでなのだけれど。勉強不足、ではあった。
今年は体調不良(と、あえて言っておこう。)のために担当患者さんのいない年末年始。けれども、今日は外勤だし、年始も早々から当直が入っている。お役所仕事とは違って、開業の先生は年末年始も大変だ。いつもあまり患者さんの来ないわたしの外来も、年末だからか、なんとなく賑わっていた。幸運にも、重症の患者さんもいなかったので、安心して年は越せそう。

来月(まずとりあえず1ヶ月だけ試用。)は「洋服を買わない月間」にしようと思う。
センスはないものの、身に着けるものを選ぶときは真剣勝負なわたし。毎日がコスプレ気分、といっても過言ではないくらい。自分なりに、「決まっていない」日は少しだけ憂鬱になったりもする。
でも、あえて挑戦。
最後の悪あがきに、プラチナ+シルバーにキュービックジルコニアの嵌め込まれたペンダントを購入。シルバーよりきらきらしていて、でもプラチナよりお手頃な価格設定。ついつい…である。
それにしても、ジュエリーショップって、眺めているだけでしあわせな気持ちになれるから不思議。

氷点 (三浦綾子小説選集)

氷点 (三浦綾子小説選集)

続 氷点 (三浦綾子小説選集)

続 氷点 (三浦綾子小説選集)

一見、何不自由なく幸福そうに見える辻口家。立派な医師・啓造、美しく優しい妻・夏枝、神経質だが好青年の息子・徹、そして明るく聡明な妹・陽子。けれど、徹の妹であった幼いルリ子が殺された日から、その家族には暗い影が落ちていた。殺人犯の娘として辻口家に引き取られた陽子を中心に、「原罪」と「ゆるし」について語られる長編小説。

何度読んでも涙が出る。ヒロイン陽子の明るさと負けん気が大好き。
自分が世界でいちばん罪深いと思ったときにこそ、真のゆるしが得られる、という言葉が心に残る。生まれてきて良かったのだろうか、と自分で自分を問い詰めることが私にもある。でも、それは誰にもわからない。原罪を償う方法を私は知らない。ただ、自分を責めつづけるだけ。
私も許されたい、と心から思う。(2001.1.28)

そこそこ多くの小説を読んできたつもりだけれど、いちばん印象的なヒロインは「氷点」の陽子だ。どんなにつらくても明るい笑顔を絶やさない陽子は、憧れといってもいいくらいの存在だ。それに比べてわたしはなんと汚い罪にまみれたことかと思う。いつになっても、ゆるされたい気持ちにかわりはなく、ゆるされる方法はまだわからない。
それは死ぬときにはじめてわかるのかもしれないな、とも最近は思う。

ララベス妃”海の涙”強奪事件が終わった今もアジトを動かないキャットと明拓。こんなことはかつてなかったはず。今では家族のように暮らす広瀬千秋は二人が誰かを待っているのではと思い始めたのだけれど…。その頃、アメリカから日本に向かって動き出していた一人の男とは―!?

前作から9年。ようやく出た最新作にして最終巻。猛スピードでいろんなことが明らかになっていくのだけれど、どうせならもうちょっと引っ張ってくれてもよかったかな、とかわがままを言ってみたくなる。ばたばたしすぎな感が否めない。

チグリスとユーフラテス

チグリスとユーフラテス

遠い未来。惑星ナインへ移住した人類は、人工子宮を活用し、世界に繁栄をもたらした。だが、やがてなんらかの要因で生殖能力を欠く者が増加し、ついに<最後の子供>ルナが誕生してしまう。滅びゆく惑星にひとり取り残されたルナは、コールド・スリープについていた人々を順に起こし始める。時を越え目覚めた者たちによって語られる、惑星ナインの逆さ年代記

ラストシーンが美しい。とはいっても、90歳と70歳の老婆が、というのはちょっと想像を絶するものがある。わかっていても、何故か目に浮かぶのは若く美しい女性と可愛らしい子供の姿。それにしても、このストーリーの壮大さには感動させられる。(2002.5.27)

「愛人の掟」に寄せられた読者の不倫体験談から読み解いた、女心と男の本音。

読者からの手紙に対し、著者が答えていくというパターン。手紙を読んでいると、「なんて馬鹿なことをしているのかしら」と思える人もいれば、「不倫であろうが関係ない、素敵な恋だって存在するのね」と思える人もいる。不倫経験者としては、自分がどちらのパターンに入るか、客観的に見るとグレーゾーン、といったところだろうか。
恋に酔っているとわからないことも、外からみるとわかることがある。そしてその逆もまたあるのだと、再確認。