【平穏】

嘔吐の波はどうやら去ったようだ。まだ、吐き気がすることは時々あるけれど。適当なものを適当に食べて、という普通のことが、戻ってきた。

それにしてもダイエット食品とかダイエットグッズってものすごいマーケットなんだろうな、と思う。メールボックスにまぎれているダイレクトメールには、扇情的なタイトル(2週間でマイナス5キロ!だとか、食べないダイエットはもういらない!とか)がたくさん並んでいる。それって本当なのかしら、と疑いながら、それでもすがってみようかなぁ、と思う自分もいたりする。

月の裏側 (幻冬舎文庫)

月の裏側 (幻冬舎文庫)

九州の水郷都市・箭納倉。ここで三件の失踪事件が相次いだ。消えたのはいずれも掘割に面した日本家屋に住む老女だったが、不思議なことに、じきにひょっこり戻ってきたのだ、記憶を喪失したまま。まさか宇宙人による誘拐か、新興宗教による洗脳か?それとも?事件に興味を持った元大学教授・協一郎らは<人間もどき>の存在に気づく…。
じっくりゆっくり読んでしまった。先へ先へ急ぎたい気持ちもあれど、文章の美しさに惹かれて。かなりグロテスクな描写も、なんだか綺麗なものに見えてしまうから、不思議。(2002.11.26)
「人間もどき」って結局なんだったんだろうなぁ、と思う。水郷都市の風景から、知らないうちに不思議な世界設定に引き込まれ、そして奇妙な疼きを残す。痛いような苦しいような。
実はちらり、と「新世紀エヴァンゲリオン」の人類補完計画なんかを思い出してしまったわたしは、本当はオタク(死語?)だったりして。(2005.11.3)